「最近どう?元気にやってんの。」と職場ですれ違いざまに言われると、
「何とか惰性でやってます。」というのが
私のお決まりの返答である。
たいてい少し不思議そうな顔をされる。
そりゃそうか。
普通の人は
「まあまあです。」「元気にがんばってます。」
「ぼちぼちでんな。」とかいうのかな。
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私のような ものぐさが定時に出社して、
家事もギリギリ生活できるレベルでこなすには、
一生懸命とか、前向きに努力とか
そんな心構えでは絶対に続かない。
全速力で走れるのは短距離だけ。
ゆるくのんびり自分に甘く生きている私。
でもそればかりだと社会で仕事して生活していけない。
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そこで惰性を利用する。
一日。一週間。一か月。
やることを決めて体が覚えるまで繰り返す。
最初は大変だけど短い期間ならがんばれる。
がんばれる期間が過ぎたら、
すでに習慣化した行動を繰り返すだけだ。
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不思議なことに、
より少ないエネルギーで、つまり惰性で
行動できるようになっていくのである。
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斎藤孝「前向き思考法」にも
「惰性運動が起こる状況をセット」して
仕事に入りやすい環境を整えている様子が書かれていた。
「無理やり」やる気を起こそうとすると
「気が重くなる」とも書かれており、
確かにそうかもしれないと思えた。
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適切に「惰性的な繰り返しをパターン化・習慣化」することで
ラクに生きていける。
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なんだか後ろ向きな発言に取られそうな気もする。
同じことの繰り返しでつまらない。そう思う人もいるかもしれない。
でも現実は、
毎日楽しいことばかりしていられるわけじゃない。
やりたいこと以上に、
避けては通れない やらなきゃいけないことが
たくさんあるのだ。
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「無理やり」やる気を起こすのではなく、
「何も考えなくても体が勝手に」という状態をつくる。
やらなければいけないことは全て、
惰性(慣性の法則と言ってもいい)をうまく利用してパターン化する。
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例えば、朝起きたら歯を磨いて顔を洗う。
玄関とトイレと洗面所の掃除は同じ順番で続けて済ませてしまう。
いつものコーヒーを飲んで X時になったら家を出て仕事に行く。
いつもと同じ電車に乗り、職場でも時間でやることを決めておく。
家に帰ったらすぐ洗濯物を取り込む。などなど。
これを「何も考えなくても体が勝手に」という状態に
してしまえればこっちのもの。
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でも休みを挟むと崩れがちになる。
そして月曜日の朝が辛くなる。
だから
朝起きる時間と朝のお決まりのルーティンだけは
できる限り変えずに過ごす。
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これが
超ものぐさ人間でも なんとか仕事や家事を継続する秘策である。
言い換えれば、惰性を利用してパワーを温存する。
本当にやりたいことにパワーを使うための知恵でもある。
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